緑と環境セミナー:講演録(岩手県知事 増田寛也)その2

「参加と協働」による環境に優しい地域社会づくり

アンケート
これは総合計画を作るにあたって全国から岩手県のイメージについてのアンケートを取った集計結果です。
一番左側の「広い」は全国の方も県民も一番になっています。この中で概して岩手県の人達はあまり評価しないが他県の評価が高いのは「美しい」とか「地味」これは堅実とかそういう意味と思います。また「暖かい」これは気候の事ではなく県民性のことです。それから「豊か」、ほかの県の方はそう思っているようです。
一方、県民のパーセンテージは高いが他県の人達がそれほど思っていないものとして「活気がない」、「不便」、「後進的」などがあります。県内に住んでる人が身にしみて感じていることと、たまに来る人の意識の違いがあるかもしれませんが、我々はもっと自信を持って岩手県のことを考えてもいいなと思います。
「広い」というのは、四国4県と同じくらいの面積ですし、「美しい」ということに通ずる要素は何かと考えますと、それは、自然が持っているすばらしさではないかと思います。      必ずしもこのようなデータで安心することなく、現実にはどんどんそういったものが壊されている状況もあります。
また景観的に優れているということを必ずしも県民が意識しながら行動をしていないという問題もあります。

岩手の目指す環境首都
これらのことを背景として、岩手の目指す「環境首都」にということで、4つの要素でまとめております。
この中で一番大事だといえるのは、『様々な活動に積極的に取り組んでいる「参加と協働」による環境に優しい地域社会』ということで一人一人の県民が観客ではなくプレーヤーとしてフィールドにおりてプレーに参加することです。
ただし、参加の度合いはそれぞれの人ができるところから始める、そういう県民の動きを作り出していくことができたときに初めて「環境首都」に近づくことになります。
そのほか、3つの要素がありますが、「参加」ということをどれだけ行政と県民の皆様が意識していけるか、このことについて行政からの強制では運動が長続きしませんし、我々自身例えば県庁がISO14001を認証取得したように、率先垂範の協働もまず大事ですし、いかに「きっかけづくり」ができるかどうかにもかかってくるものと考えます。
数値目標
そういう「きっかけづくり」とともに目標を示すことが必要です。
県の総合計画を受けて、環境基本計画を作っております。いろいろな数値目標を書いておりますが、ここには代表的な3つの目標を書いております。
まず問題になっておりますCO2の排出ですが、世界レベルでの日本の国際公約では2010年度までに1990年比6%の削減となってますが、岩手県としましてはそれにプラス2%の8%削減を目標にしております。民生部門、産業部門にご協力いただいて、CO2の削減につながるようなことをやっていこうということです。
国内の県庁所在地の中で盛岡市はCO2の排出量はきわめて高い都市で、それは家庭から出るCO2の排出量が暖房のこともあり高いということです。これは、都市公害に関わってくることですが、例えば欧米のように地域冷暖房によりCO2の排出量を押さえるとか抜本的に考えていかなければならない問題ですが、これは後で新エネルギーのところで述べたいと思います。これからはそういう問題を積極的に考えていかなければなりません。
環境基本計画の中では数値目標をいろいろ掲げておりますが、具体的な目標値とそれに沿った形での行動計画を作り、目標の達成に努力していきたいと思います。
宮守川
次に環境というのは範囲が広いのですが、川づくりについてです。最近は環境に優しい川づくりなど耳ざわりの良い言葉が聞かれますが、川に対する関心が大変大きくなってきております。
これは全部宮守村にある宮守川の写真です。左上は今回の改修前の状況です。洪水対策として護岸をコンクリートでがちがちに固めますから工事としては大変立派な工事です。      こういう河川改修は昔は立派な工事でしたが、こういうのはやめましょうという意識が出てきまして、これは悪い河川改修ですということにしましょうということで、右下が改修後の宮守川の姿です。
右上の写真は工事途中のものですが、間伐材を格子に組んで護岸を固めたり、現場から出てきたコンクリート塊などを再利用しておりいわゆるゼロエミッションに近い工事となっております。今後はこれに近い形で川づくりをしていきたいものです。
これは住民の方も参加した意見交換会を経て実現しております。今回わざわざご紹介するくらいですからこういう例はまだまだ少ない状況です。もちろん治水効果をしっかり出すことが大事ですが、このように川に人を近づけ、親水空間を作ることにより川を汚さくなるのではないかと思います。
間伐材の活用
そのほか、できるだけ県営工事に間伐材を使いたいということでその事例を出しております。
左上は滝沢村の諸葛川です。右上は林道工事です。左下は三陸町の治山工事、右下は宮古市内の砂防ダムです。
価格は少し高くはなりますができるだけ量を増やしていきたいものです。技術的に工夫できるというものは増やしていく必要があります。
森は海の恋人植樹祭
いま、木のことがでたわけですが、県内を歩いてみて、川や海をきれいにするということは上流の山に木を植えることがいかに大事かということが、ずいぶんと県民の皆様に意識として根づいてきていることがわかります。
これは有名な室根山の植樹風景の写真です。
県境を越えて宮城県の唐桑湾の漁業従事者が上流の室根山に植樹に来ているところです。
森は海の恋人ということで全国から遠くは沖縄からも集まってきております。こういう運動はここだけではなくて県内あちこちで行われており、山を大事にしていこうという気持ちの表れです。
これから行政としてもいろんなことをやっていかなければなりませんが、県民運動として多くの人達に参加してもらい、意識と実際の行動とが根づいていくことがほんとに力強く山を再生していくことにつながります。
グラウンドワーク
これは、盛岡市の松園の公園ですが、市民有志の人達が地域の皆さんとずいぶんと議論を重ねてちょっとした空き地に作ったすばらしい公園です。いわゆるグラウンドワークというものです。
五葉山自然倶楽部
これは陸前高田市の人たちが中心になって五葉山を対象に活動している例です。いろいろなフォーラムを開いたり、観察会を行って環境についての意識啓発をしております。
七時雨山山麓・田代高原
これは安代町の七時雨山です。このような素晴らしいところでいろんな人達が地域の自然を見ながら、材料にしながら活動をしております。
いろいろな活動が行われていることを皆さんと共に見てきたわけですが、本日のようなセミナーを通じて、少しでも実践できる動きにつなげていければ素晴らしいことだと思います。
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